Jの悲劇

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 どうも、こんにちは。ぼく、じゃがいもです。  既に皮を剥かれて包丁で切られて、現在透明なボウルの水の中でプカプカしています。 「ふふふ、ついに、ぼくも晴れ舞台を迎える時が来たんだなあ……!」  嬉しくてたまりません。ぼく達の晴れ舞台、それは人間に調理され、立派なお料理になること!  特にぼくの夢は、その中でも“ぼくが主役の”料理に生まれ変わることでした。つまり――肉じゃがになることです!  もうすぐその夢が叶う!これ以上の喜びがあるでしょうか! 「ついにこのぼくが主役に……肉じゃがになれるんだぁ……!」 「は、何言ってんだテメェ」  となりからガラの悪い声が聞こえてきました。みれば、同じように細かくなって銀色のボウルに入っているニンジン先輩です。  彼も今回、一緒にお料理になるため此処にいるわけですが。 「まだ肉じゃがと決まったわけじゃねえだろうが。さっき人間が肉の用意をしてんの見たぜ。これはカレーになるに違いねえ!そう、俺様の大好きなカレー!お前は俺様を引き立てる添え物になるのさ!!」  この先輩、口調も悪いですが性格も悪いです。ぼくは一気に不機嫌になってしまいました。カレーだともまだ決まったわけじゃないし、大体カレーの主役だってニンジン先輩じゃないと思うんですけど。あれの主役はカレー粉か、ぶっちゃけるとごはんじゃないかと思うんですけど。  ぼくがそうツッコむと、ニンジン先輩は真っ赤な顔をさらに赤く染めて憤慨してきました。
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