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誓い
いつの間に眠っていたのだろう?
昨晩から降り続けている雪が、寒さと共に現実の世界へ呼び戻した。俯せていた机から顔を起こし、教室の外に広がる真っ白な世界を見つめ、朧気な記憶の糸を辿る。
懐かしい夢だった。あれは、小学生になったばかりの頃。町の中心にそびえ立つ桜の下で、俺と光一は約束を交わした。難しい事は分からない子供だったけど、過疎化が進んだ町を俺たちの力で変えたかったんだ。
田舎特有の大きなテーマパークを作るとか、観光名所やパワースポットで人を集めてもいい。この町ならではの名物料理を開発したり、映画のロケ地として有名になるのも面白い。どんな方法でもいいから、大好きな町を笑顔で溢れさせよう……そう誓った。
『光一、大人になっても忘れるな』
『当たり前だろ。この一本桜に誓うぜ』
『絶対だぞ』
『何をムキになってんだよ。そんなに心配なら……』
あれから十年が経ち、俺たちは高校生になった。成長と共に記憶は色褪せても、あの時の想いは色褪せない……
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