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ご、ご一緒?
俺と一臣も?
まさか一臣からそんなことを言うとは思わなかったから、思わず驚く。
「そりゃあ、来てくれたら俺としては助かるよ。俺と涼也と奏の三人だけより、会話も弾むだろうし」
「だから俺は行かないって!」
「お前は来い! ほら、奏がもうあんな遠くまで行っちまった。行くぞ」
と、周先生が涼也君の腕を引っ張って歩いていく。
俺と一臣も、二人並んでその後ろを歩いてついていく。
「……何で一緒に行こうと思ったんだ?」
隣を歩く一臣に尋ねる。
ご飯に行くのは構わないのだけれど、理由を知りたかった。
すると。
「……今二人きりになったら、我慢出来なくて京ちゃんに何しちゃうか分からなかったから」
「え?」
「あはは」
「……あはは」
面白い冗談、ってことにしておこう。
……それにしても。
初めての海外旅行で、〝世界は広い〟と確かに感じたはずなのに……
何故、世界は広いのに世間は狭いのだろう。
(……まあ、いいか)
これからは、一臣といつでもすぐに会えるんだ。
おかえり、一臣。
End
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