突然の悲報

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今日は、お互いに仕事が終わった後で駅前で待ち合わせをして、近くのラーメン屋にやって来た。 待ち合わせ時からずっと、一臣が暗い顔をしていることが気になっていた。 すると、店に入ってカウンターに並んで座った瞬間、この話を切り出されたのだ。 付き合い始めてからもう結構経つけれど、ケンカはしたことなかったし、上手くやっていると思っていた。 それなのに、なぜ突然、別れ話のような台詞を放たれたんだ? ラーメンか?御曹司に、こんな寂れた店のラーメンを食わせようとしたのがいけなかったか?いや、でもここのラーメンめちゃくちゃ美味いし……。 すると、一臣は寂しげな顔でこう続ける。 「イタリアに、うちの会社の海外支店があるっていうのは前に話したよね? 今度、その支店の事業拡大と新規プロジェクトの関係で、直接支店に行って、プロジェクトに携わることになったんだ。だからしばらく、イタリアでの生活になる」 ……あ。何だ、仕事か。 自分で気付かない内に、一臣に何かしてしまっていたのかと思ったから、それについては少し安心した。
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