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休暇制度
それから一ヶ月後に、一臣は予定通りイタリアへ発った。
出発が日曜日の昼便だったので空港まで見送りに行くことは出来たが、まさかドラマのように空港で抱き合って別れを惜しんだり、というのを男同士で出来るはずもなく、見送りはあっさりと終わってしまった。
……まあ、改まりすぎると本格的に悲しくなってしまいそうだったから、というのもあったけれど。
一臣も、結局最後までどこか曇った表情を見せていた。
一臣は仕事が好きだといつも言っているし、イタリアは一臣にとっては第二の故郷とも言える場所。
だから仕事でイタリアに行くこと自体は前向きな気持ちなのだと思う。
それでも表情が暗いのは、やはり俺のことを想ってくれているからだろう。
お互いに想い合っているのだから、少しの間会えないくらい、平気だ。通話もメッセージのやり取りも出来る。
だから、何の問題もない。
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