ぱせぎの日記

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僕が注いだミネラルウォーターを、彼は口の傍から零す勢いでグラスを傾け、あっという間に飲み干した。グラスをテーブルに叩きつける彼。ドンともガンとも言えない高くて鈍い音が床まで響く。怯えた目線に気づいたのか、彼は僕を横目に呟く。 「こう、乱暴に飲むとグラスの中の液体がロックの日本酒かなんかに思えてくるのさ。」 言われてみれば虎の飲み方、というやつなのかもしれない、とは思った。それにしてもそんなことして何になるんだ、とも思った。 「まあ、幸福な奴には分かんないんだよ。」 彼は勝手にむすくれて、グラスを持った腕を僕の方に突き出す。もう一杯ミネラルウォーターを注げというのだ。 “幸福”という烙印を押されてこんなに不快になったのは初めてだった。ただ、不快と言っても、それは自らの拒否反応ではなくて、彼の為の感情だと思った。
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