法律殺しの大罪人・愛禁法の『親』

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 作中では、環境関連の法律として登場した、これの元になったもの。  それは、かつて世を騒がせた、  『人権擁護法案』  と、  『青少年有害対策基本法案』  この二つです。  今じゃ「結局どうなったんだ?」と思うくらい影が薄くなってしまいましたが、この二つは今も私の心に暗い影を落としています。    でも、ここまで読んだ方の中には、  「どうして環境関連の法律として出したんだ?」  と、仰る方もおられることでしょう。    実はそれにも、ちゃんとした理由があるのです…。  それは、  『どんなに不都合な内容でも、表向きさえ納得させれば当事者としてはどうでも良い』  『理由さえ付けてしまえば、どんな悪法も通せる』  事を、証明知らしめたかったからです。  事実、現実でも政府が、憲法の解釈改憲をする事で、自衛隊の活動範囲を広げた事は、誰もが周知の事実ですよね?  本編を書いてる時も、新型コロナウイルスが蔓延(20.6.19現在)していますが、その裏でそれとは関係ない法案を通そうとするなど、政府は国民が厄災に遭っている中で、国民によって選ばれた者とは思えない行動を起こしています。  それは正しく、上記の発言をも現実に出来る…と言う事に繋がるのです。  法律とは本来、国民生活を良くし、かつ違法行為を取り締まるために存在する物で、これらは国会議員の方々が地道に論議して、ようやく形になる物なのです。それも時代にあわせ、かつ状況に合わせて立てるべきですし、無関係の法律を立法させようなんて、言語道断です。  しかし、それはやはり歴史に左右されてしまう物なのです。    第二次大戦中の日本は、戦争に勝つことに躍起となっていたせいで、人のための政策などとても取れませんでした。  しかも、政府や日本軍は国民に、物資不足故の極度の節制生活や、徴兵をさせるだけでなく、子供達には学ぶことすらさせず、果てには、    『国のため』  として、自決を教唆するようなスローガンを掲げたのです。    このように、悪い意味で時代や状況に合わせた政策を敷いた結果、日本は、いや日本と同じ事をした国家がどうなったかは、もう分かっていますよね?    内部で分断され、意見を違える国民を苦しめ、誰もが心に抱く、優しさを忘れていったのです…。  しかし、それを政府にさせてしまったのは、一体誰でしょう。  その真犯人、それは当時の人間…特に大人達です。  当時の日本は、貴族のみに参政権があり、庶民は選挙には行けず、その結果を見守る事しか出来ませんでした。  尤も、大日本帝国憲法は元々、欧米の憲法をベースにしていますが、第二次大戦後のGHQ曰く、  『封建制が抜けきれてない』  と、言わしめるレベルの統治体制だったので、それだけ己の権力を保持したかったのでしょう。  そして、第二次大戦前には、それを証明知らしめる事態が襲います。  そう、世界恐慌です。  全世界で株価が大暴落し、世界中の誰もが、貧しい生活を送る羽目になりました。  それは日本も例外ではなく、中国国内に強引に満州国を建国するという愚行も犯したうえ、先述の命も問わない、極度の節制生活を国民に強いたのです。  当時を生きていた人達のためにも、決して許されてはいけない事実ですが、それをさせてしまったのは、他ならぬ当時の人達です。  複合的な事情が重なり、かの山本五十六の様に冷静な人間も居たと言え、人の本質を見極められず、止めることも出来ず、しなかったのです。  果てには五・一五事件や、二・二六事件を発生させて声を封じ、戦争に反対する声を封じ込めて日本を間違った方向へと向かわせ、結果日米戦争に発展させてしまったのです。  私達は、その戦争を身をもって経験していません。しかし、自分が自分であるためにも、経験してはいけないのです。  だからこそ、人の本質を見極める目を持つ事が大切なのです。
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