鴉附きと呼ばれるようになった子供達

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 本編最大の被害者でもある子供達。  延々と続いた歴史、それに特に翻弄されたのは…、  ・職業でも、区別の対象とされてきた女性。  ・『姥捨山』と言う物が出来るほど、厄介扱いされてきたお年寄りの方。  ・『優生学』によって苦しめられ、果てには命を奪われる悲劇に見舞われた障がい者。  ・国によっては命を持って裁かれる罪とされてしまう、性的少数派(LGBTQ)の人達。  …そして、子供達です。  子供という時期は、先の四者全てが必ず通り、当てはまる過程です。  男性も女性も(時と状況は違えど)平等に産まれますし、彼等はいずれ老います。更に、先天的か後天的かに関わらず、体や心に、何かしらの障害を負うことはありますし、自分の心や身体に違和感を持つ事もあります。  彼等の多くは、特に貧しい暮らしを強いられる時代…日本においても、特に江戸時代まででは学ぶことすらままならず、明治以降も何時か来る徴兵に始まり、世界恐慌、数ある国際的な戦争、軍国主義、悪化する自然環境、その中で起こる差別や強要…。  子供は特に、そうした苦酷の中で苦しみ、『命の選別』をされながら成長し、今も私達と触れ合っているのです。  詳細は後々説明いたしますが、残念ながら、子供が犠牲になる、もしくはなりかねない事象、そしてその子供がそれを産んでしまう事態は、法と技術、人権が発展した、今の時代も続きます。  平成という世が始まった1989年には、一人の狂気が、四人の少女の人生を、強制的に終わらせました。  2001年には、大阪で一人の身勝手のせいで、沢山の子供の命が奪われました。  2007年と2008年には、かつての子供が、本当の愛情を受けられなかったせいで、それぞれ、名古屋で一人の女性が、秋葉原で10人近くの人の命が失われてしまいました。  そして、2011年の東日本大震災と、2019年末からの新型コロナウイルスの世界的蔓延による、被害者達へのいわれのない差別や、『自粛』の強要、犯罪者の一族となった者達への差別…。  海外でも、発展途上国にいる子供達の多くは、生活が苦しいために学校に行くことすら出来ず、水一つ得るのにも苦労し、その水も飲めば感染症にかかりかねない危険な物…。  果てには、紛争にかり出され、戦火の中で命を散らす…。  …というように、子供達は今も、命がけの生活を送られているのです。    しかも、そんな状況を作っているのは、その『子供』という過程を経て、大人になった、もしくはなってゆく、かつての子供達。  『子供は親の背中を見て育つ』  『子供一人を育てるのに、村一つは必要』  とは、よく言ったもので、未だ、苦しみを受けた末、その苦しみを与えた者と同じ事をする元『子供』である『大人』が日々、世界各地の何処かで人から物を、財を、そして命を奪うのです…先見の明に、頭が下がります。  『亡失者達の祭』は、そうして壊れきった世界に生きる子供達と、かつて子供だった者達の群像劇なのです。  本作品に登場する子供達も、只でさえ、布一枚身に纏う事すら身の危険を孕んでいるのに、大きな混乱のせいで世を乱す害悪とされて命を奪われ、今後の話にも関わるので詳しくは言えませんが、所によってはヒトガタを残すことすら許されないのです。
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