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日記にならない思い
平日真っ昼間
職業安定所の
3番窓口に
今流行りのグレイヘアとは
少し違う
ベリーショートに
すっぴん
ユニセックスな
婆さんが
季節外れのコーデュロイ生地
ショッキングピンクのパンツを履き
黒のビジネスリュックで
何かを訴えている。
いかにも役所勤めという風貌な
30代半ばの女に
申請手続きの矛盾を
攻め立てた挙句
「つまり あたしは、
あれだ、ほらっあれだよ
単純にインド人が好きなんだっつー事だな」
言い切った後「うんっ」と
自信がない自身の混雑する感情に
これで大丈夫と言い聞かせる様に
頷いた
「お兄ちゃん、ホントだよっ!
あたしゃずーっとインド人を尊敬してんだよ」
もはや、この婆さんには
目の前の人間が、どの様な性別かも
どうでもいい事のようだ
その場にいる客、役所員、
自動販売機の
補充をしに来たドライバーは
見ないように聞き耳をたてた
大きいはずの声だが
何故か内容が入ってこない
癖の強い、この婆さんは
役所では常連らしい
その証拠に
窓口対応の女は
婆さんが怒鳴り始めても
びっくりするどころか
呆れ果てた顔で 淡々とこなしている様子が伺えた
「じゃいいよっ!」
初めから来るな
心の声が聞こえてきそうだ
婆さんは、見るところ
ただ言い飽きた様子で
逆ギレ代わりに納得したフリをし
帰り支度をはじめた
持ち物が全てわかるくらいの
ビジネスリュックのファスナーの開き具合に
あー面倒くさい
婆さんじゃなくて
こんな社会で生きる事が
あー婆さんになりたい
あんな風には
生きられない自分
現実逃避するように
無意識にスマホを手にして
ネットを開く
5/10月曜日
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刺さってこない今日このごろだ
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