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おやまのふもとのちいさなむら
もう何日も雨が降らない。
これは水神様のお怒りか。それとも呪いか。
このままでは作物が育たない、と村人たちはほとほと困り果てていた。
仕方がない、そう言い始めたのは誰だったか。
このようなことは、したくはないが、やむをえまい、と誰かが言う。
村のみんなのためだ、とまた別の誰かが言った。
水神様の機嫌をとらなくてはいけない。
怒りを鎮めて頂かなければ。
雨を降らせて頂かなければ。
そう、みんなが口々に言い始める。
村のために、みんなのために。
村のために、子どもを一人、差し出そう。
そうして子どもが一人、御山へと送られた――水神様への生贄として。
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