おやまのふもとのちいさなむら

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おやまのふもとのちいさなむら

 もう何日も雨が降らない。  これは水神様のお怒りか。それとも呪いか。  このままでは作物が育たない、と村人たちはほとほと困り果てていた。  仕方がない、そう言い始めたのは誰だったか。  このようなことは、したくはないが、やむをえまい、と誰かが言う。  村のみんなのためだ、とまた別の誰かが言った。  水神様の機嫌をとらなくてはいけない。  怒りを鎮めて頂かなければ。  雨を降らせて頂かなければ。  そう、みんなが口々に言い始める。  村のために、みんなのために。  村のために、子どもを一人、差し出そう。  そうして子どもが一人、御山へと送られた――水神様への生贄として。 ***
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