真っ白な嘘

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 私は彼の秘密を知っている。  彼は私が好きなんだ。二年生の時に隣の席になってから、彼は私のほうばかり見ている。  彼の友達からも、「どうやらあいつ、キミのこと好きみたいなんだ」という話も聞こえてきた。  彼は隠し通していると思っているみたいだけど、こんなにわかりやすいことはない。  だって、私が彼のほうを見るとすぐに目を遠ざけるのだ。  それはもう自白みたいなものなのに。  勇気が出せないから、私に告白できないんだろうな。そんないくじなしには、少しお仕置きが必要だと、私は彼に積極的に話しかける。たまに、恋の話になるけれど、私はここでも彼に意地悪する。この前は、好きな異性のタイプの話になった。 「頼りがいがあって、引っ張ってくれるひと」  私はそう答えた。優しくて気配りができる彼とは正反対だ。彼はそれ以降、ちょっと男っぽくなった。効果てきめん。  そして、私にも彼に秘密にしていることがある。それは、私が彼のことを大好きだってこと。  たぶん、これはうまく隠し通せている。だって、彼は私に告白してこないから。私が彼の告白を拒否することは絶対にない。  なのに、彼は告白してこない。だから、私は希望をこめて彼にウソをついたのだ。  少しでも勇気を持ってほしくて……  だから、私たちはお互いに秘密を持っている。それは、とても大事な秘密だ。  目がさめた。  そこには真っ白な世界が広がっていた。 「もうすぐ、卒業か」  私たちは、銀世界に足跡を刻む。
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