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僕が初めてSNSにアップした写真は、一匹の野良猫だった。友人に薦められて何気なく始めたSNSは、僕の呟きがつまらないのかなかなかフォロワーが増えず、楽しくなくなってきたので、アカウントを消そうかと思っていた矢先、急にお尻にハートマークの模様が付いた白猫が飛び出して来たのだ。その猫は全体が真っ白なのに、お尻だけ黒いハートのブチがあった。凄い!と思った僕は、ポケットから急いでスマートフォンを取り出し、慌ててその猫を写真に撮り、SNSにアップした。『学校帰り、凄い猫を見た』という呟きと共に写真をアップしたとたん、瞬く間に拡散され、僕のスマホは震えが止まらなくなった。『可愛い!』『恋の使い魔かな?』『アンパンさん、初めまして。RTで回ってきた猫が可愛いのでフォローさせて頂きます』『アンパン君、珍しく楽しい呟きするんだね(^o^)いつもつまらん呟きばかりなのに』など、コメントも沢山貰った。SNSを始めて、初めて僕は心から楽しいと思った。大勢の知らない人達に注目されるのは気持ち良い。
もちろん大勢じゃなくても、時々僕の日常的な呟きに1人2人くらいはコメントをくれる事だってある。それはそれでありがたいし、嬉しい。でも、それの比じゃなかった。
その日味わった注目されるという快楽を、僕は忘れる事は出来なかった。
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