僕らはイイネを貪り続ける

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SNSに登録した日の、初めての呟きは『初めまして。僕は普通の男子高校生です。友人の薦めでSNS始めました。アンパンというハンドルネームは好物からとりました。友人はいちご男です。宜しくお願いします』だった。その時のフォロワーはまだ友人1人だったが、挨拶は大事だと思ったのだ。『お前wまだフォロワー俺しか居ないじゃん』すぐに友人からリプライがあり、僕は『そうだけど、挨拶は大事じゃん?』と返信した。 僕はフォロワーを増やす為に、何気ない事を呟き、自分と同じ高校生のユーザーを探しては挨拶をし、フォローしていった。結果、フォロワーは少し増えたが、僕の呟きがつまらないのか、相互フォローだった人からよくフォローを外されたりもした。『アンパン君って面白い呟きしないよね』と、リプライを貰った事もある。落ち込みもしたが、ネタツイは思い付かないし、映える写真は撮れない。だから、その時はこのままで良いと思っていた。僕のアカウントは日常垢。分かってくれる人だけフォロワーでいてほしい。 『今日は抜き打ち小テストがあったよ。不意討ちだったから酷い点数取っちゃった』そんな僕の呟きに『お疲れ様!』『抜き打ちは酷いねー』などとリプライが届く。今思うと、それが僕の身の丈にあった幸せだったのだろう。半年後、お尻にハートの猫を見掛けた僕は、その幸せを自ら壊してしまうのだけども。
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