白い箱

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 男には1つ気になる事があった。アパートのお向さんの事である。道を挟んだ向かいにあるその部屋はいつもカーテンが開いていて、こちらから部屋の中身がすっかり見えてしまっているのだが、問題はその部屋の中にあった。大量の白い箱が転がっているのだ。床が見えないほど大量に。大小様々なその箱は日に日に数が増えているようで、今では箱は腰の高さ程まで部屋を埋めつくしているようにも思える。  どんな人物が住んでいるのか、なぜ大量に箱があるのか、なぜ増えているのか、あの箱の中身はなんなのか。尽きぬ事のない疑問は男がその部屋に強い興味を持たせるのに十分な理由だった。
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