未来のパートナー

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未来のパートナー

「きーめた! まず未来のお婿さんがみたいなぁ」 「未来のパートナーにゃー」 「どんな人かなぁ」  あいちゃんの瞳がお星様で一杯になった。 「きっと素敵な人みゃー」  ピーチがまるで自分のことのようにうっとりした目で宙をみつめる。 「ねぇ、その人にいつ、どこで、どんな出会い方をして、どんな所で結婚するのかもわかるの?」 「もちろんわかるにゃー」 「すごーい!」  あいちゃんのテンションがさらに上がる。 「でもこれだけは忘れないでね、アカシックレコードで見る未来は現時点での予測でしかないってことを」  ピーチが真顔で言う。 「未来は人の思い次第でどうにでも変化するからでしょう」  あいちゃんも今までのぼくとピーチの説明で少しは理解できたようだ。 「そうにゃー。あいちゃんの思い、相手の思い、お互いの思いが一致しないとはぐれることもあるにゃー」 「はぐれるって、そんなー」 「運命の赤い糸は、実は、沢山あるみゃー」  クールなピーチの言葉はあいちゃんを少しがっかりさせた。 「えっ! そんなぁ。それじゃ運命の赤い糸の有り難味がないわ」  やっぱりあいちゃんの落胆ぶりは大きかった。 「でも今回の人生で出会えなくても、次の人生、その次の、そのまた次の人生では必ず出会う魂があるのは確かだにゃー」 「必ず出会う魂って?」 「ツインソウルよ」  ピーチ姫が瞳を潤ませて言った。 「ツインソウルって、漫画で読んだことあるわ! 元は一つだった魂が二つに分かれた魂のかたわれでしょ! あたしツインソウルに会いたいの」  あいちゃんは一気にヒートアップした。 「すでに出会っていたり、すでに結婚していたり、あるいは親兄弟ってこともあるんだにゃー」 「もう、ダイアン! 夢を壊すようなこと言わないで」  あいちゃんは肩を落とした。 「ほんと、ダイアンはデリカシーがないみゃ」  ピーチも目がつり上がり気味だ。 「そんなぁ。あいちゃんがショックを受けないように最悪の事態も言っときたかったんだにゃー」 「わかってるみゃ、フフ」  ピーチはワザと怒ったふりをしたのだ。 「ピーチ、意地悪にゃー」 「もう、ダイアンもピーチちゃんも仲が良すぎ! そろそろお互い素直になったらどうなの」  あいちゃんはダイアンのツインソウルはピーチに違いないと思った。ところが当のダイアンとピーチはお互いをちらと見るとプイッとそっぽをむいた。二匹がお互いの気持ちに素直になるにはまだまだ時間が掛かりそうだ。 「ねぇ、ソウルメイトとツインソウル、どこがどう違うの?」  あいちゃんは、お互いにそっぽを向いて箱座りするぼくらに訊いた。 「そうだね、ツインソウルが魂の片割れならソウルメイトは同じグループの魂仲間みたいなものかにゃ」  そう言ってぼくは右手の甲をグルーミングしていると、 「ソウルメイトは同じグループ魂の輝きを増すために、相手を砥石にする傾向があるの。磨き合う時、もしプラスのエネルギーを出せたなら、恋人や夫婦や親子、兄弟でも、良きライバルのような感じで切磋琢磨できるけど、マイナスのエネルギーを出してしまった場合は、魂を磨き合おうとするあまり、お互いに傷つけ合う事に発展することもあるみゃ」  ピーチがソウルメイトの宿命をあいちゃんに話してくれた。 「そんなぁ。傷つけ合うなんて……。じゃ、ツインソウルは?」  あいちゃんは本を握りしめ真剣な眼差しで二匹を見つめた。 「ツインソウルは文字通り元は一つの魂だから、とても仲が良くて、一緒になれば魂の共通の使命にむかって大きなエネルギーを出すことが出来ると言われているにゃ。ソウルメイトみたいにお互いを魂磨きの砥石として競い合うということがないんだにゃ」 「じゃ、ソウルメイトと出会ったら最悪じゃない」  あいちゃんは、ぼくらの話を聞いて少し不安になった。 「すべてのソウルメイトがそうだとは限らないみゃ」 「前世で今度出会ったらどうしようかって、グループ内のメンバー同士が相談してくるにゃー」 「え、え、どういうこと?」  あいちゃんはまたまた混乱した。。 「つまり相手次第ってことよ。出会う相手によって前世からの課題を決めて来るみたいだから、その課題が何だったかで、ライバルとして高めあうような魂の磨き方をするのか、互いに傷つけあうようなことをして魂を磨きあうのかが決まるみゃ」 「やっぱりツインソウルに出会ったほうが絶対に幸せになる感じだわ」 「まぁ、これ以上説明してもあまり意味のないことだから、この辺で本を読んでみましょうみゃー」  ピーチの言葉に一同頷くと、あいちゃんが目次のページをゆっくりめくった。 「第一章、プレアデス星団……?」  あいちゃんは目が点になってしまった。 「プレアデス星団って、あたし地球外生命体だったの?」 「目次に有るならそうだってことだにゃー」  ぼくは少しビックリしてあいちゃんが握り締めている本の目次を覗き込んだ。  あいちゃんは目次をパラパラめくり、次に指が止まったところを見て、大きな目がさらに大きく開いた。 「第十一章、アトランティス。これまじ?」 「あいちゃんアトランティス時代に地球にいたみゃ!」  今度はピーチがビックリした様子で本の目次を覗き込んだ。 「あたしなんだかページをめくるのが怖くなってきたわ」  あいちゃん、少しブルーになってきた。 「怖かったら見ないほうがいいよ、見なければ良かったってこともあるからにゃー」 「ダイアン! あいちゃんを必要以上に怖がらせなくてもいいじゃないの! デリカシーがないみゃ」  ピーチの言葉にぼくは意気消沈して俯いた。 「ピーチちゃん大丈夫よ。あれこれ考えてたってはじまらないね! ダイアンありがとう!」  あいちゃんはぼくの猫の額を優しく撫でてくれた。 「にゃー」 「まず未来のお婿さんを見に行くわ」  あいちゃんはそう言うと、目次をパラパラめくり未来のお婿さんの章をみつけた。 「ここね」 「あいちゃん」  ダイアンとピーチが心配そうに揃ってあいちゃんの顔を覗き込んだ。 「大丈夫よ。開くわ」  あいちゃんはそう言うと、両手でバッと未来のお婿さんの章を開いた。
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