運命の赤い糸

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運命の赤い糸

 心と魂が癒やされたあいちゃんは、あるがままの自分を受け止め、やっと自分を好きになることが出来た。さらにあいちゃんは、お父さんとお母さんの離婚という悲しい現実に真正面から向き合うことで、悲しみをしっかり受け止め、心と精神の傷を徐々に克服していったんだ。  あいちゃんのお母さんにも変化が起きたんだよ。勇気を持って弱かった自分の心と向き合い、そのままの自分を受け入れることで、自分を好きになることが出来たんだ。あいちゃんのお母さんも人生を前向きに生きはじめたってわけさ。嬉しいね。  今まで辛いことばかりだったけど、こうしてあいちゃんとお母さんは、本当の意味で自分の人生を歩み始めたんだ。    ところで気になるぼくとピーチのことだけど、ぼくらは相変わらず仲がいいのか悪いのか、いつまで経っても二人の関係は平行線のままなんだにゃ。  そんなある日、中学二年生になったあいちゃんが、学校から帰ってくると思いつめた顔をしてぼくとピーチに訊ねた。 「ねぇ、運命の出会いってあるのかなぁ?」 「にゃ?」 「運命の恋人よ! 赤い糸の白馬の王子様!」  そう言ってあいちゃんは、大きな黒い瞳に沢山のお星さまを輝かせ、頬を真っ赤に染めた。 「あいちゃんの運命の恋人……」  あいちゃんの思わぬ恋の相談にぼくもピーチもビックリにゃ。  ぼくは咄嗟に、 「あいちゃんのソウルメイトいるに決まってるにゃ」   当然のごとく返事した。  するとピーチが、 「なんの根拠があってそう言いきれるみゃ?」   とすかさず水を差す。 「根拠っていわれても、いるに決まっているにゃ」   ぼくはピーチの口撃に弱り果てる。 「あたしならアカシックレコードをちゃんとみてから返事するみゃ!」   ピーチが横目でぼくを一瞥する。 「たしかにそのほうが確実だにゃ」   ぼくはあっさりピーチに脱帽だ。   ところがお調子者が大嫌いなピーチは、 「思いつきで返事しないでみゃー!」   と逆切れしてしまう。  (ピーチ、なんだか最近ピリピリしてるにゃ)  ちきんのぼくはピーチのピリピリにビビって、 「にゃー」  と小さく返事する。  それでもピーチのイライラは収まらない。 「あんたはいつもそうだから危険な目に遭うみゃ」   ピーチはぼくに食ってかかる。   その時、ぼくらのやりとりを見るにみかねたあいちゃんは、 「ピーチちゃん。ダイアンのそんなところが優しさなの」  とぼくに助け舟をだしてくれた。 「わかってるみゃー」  あいちゃんにそう言われ、ピーチはイライラを収めた。 (ピーチちゃんはダイアンが好きだからその分期待も大きいのね)   察しのいいあいちゃんはぼくに対するピーチの気持ちに気づいたので、 「ダイアン。ピーチちゃんはあなたに凄く期待しているの。だから言葉が少しきつくなってしまうのよ。わかってあげてね」  そう言ってぼくらの間を取り持ってくれた。   ぼくはすごく嬉しくて尻尾をピンと垂直に立て、 「ありがとうにゃ」   とピーチに笑顔をむけた。  一方のピーチはつんとしていたが、尻尾を垂直に立てていた。  ピーチも本心は嬉しいのがわかる。  あいちゃんはあまりにも対照的なぼくらの性格にクスッと笑った。
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