act.2

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白い天井、白い壁、白いシーツ。 床や、ベッドの転落防止用の柵まで全てが白い。 目が覚めたら白に囲まれていた。 私を取り囲む全ての物が白くて、少し目がチカチカする。 何度見ても慣れないその光景に、自然とため息がこぼれる。 何故入院しているのか分からない。 看護師にどこが悪いのか聞いても曖昧な返事をするだけで、詳細は教えてくれない。 そんな日々を過ごすうち、自分はどこも悪くないと思うようになってきた。 どうやって病院に来たのか、診察を受けた記憶もない。 最初は意識を失って救急車で搬送されたのかも…と思っていた。 けど、それならそう説明してくれる筈。 わけも分からないまま、いつまでもこんな陰気臭い入院生活なんてしていられないわ。 私は荷物をまとめ、服を着替えて廊下に出た。 「笹野さん、凄い荷物ね。どこに行くの?」 部屋を出た所で、朝食を運んできた結城さんと出くわした。 「私はどこも悪くありませんので、家に帰ります」 「家に帰るなら、先生の診察を受けないと。先生が帰って良いと言ったら家族の方が迎えに来てくれるからね。取り敢えず朝ご飯食べましょう?」 結城さんは言うと食事を部屋へと運ぶ。 帰ると言っても、所持品にお金はなかったからタクシーにも乗れない。 ここは従うしかないかしら? 仕方がなく私は部屋へと戻った。 朝食を済ませ、いつものように食器を下げる。 診察がどうとか言ってたから、部屋で医者が来るのを待つが、一向に来ない。 先程、結城さんと中山さんがやって来て、部屋の入口に何かマットみたいな物を置いて行った。 何の為に置いたのかは分からないけど、そんな事はどうでも良い。 私は家に帰りたい。 何度か荷物をまとめて廊下に出たけど、その都度看護師や助手が来て部屋に連れ戻される。 医者が来るからと言うけど、そんな気配は全くなく、一日が過ぎた。 真っ暗になった外を眺めながら、明日こそは帰ろうと決めた。
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