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――有り得ない、有り得ない、有り得ない! 何で死んでないんだよ、僕。
叫びたくなる衝動を堪え、辺りを見回すが一面の白に辟易する。
「こんばんは、番犬さん」
不意に声をかけられ、僕は驚く。
振り返るとにこにと笑う女がいた。僕より少し年上だろうか。
「檻の中から抜け出そうとして、逆に檻に閉じ込められたんだね」
その女は訳のわからないことを言った。
ただでさえ混乱している僕の脳みそを更に混乱させてくる。
「私は神野詠。魔女って呼んで良いよ、番犬さん」
自称魔女。痛い女だった。
そしてさっきから、この女……詠は僕のことを“番犬”と呼ぶ。
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