登場人物紹介

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 体を擦りつけるように絡み合い、キスを交わす。  気がつけば、ベッドに仰向けとなって転がったロベルトの胸の上にジェイミーが乗りかかったような格好となっていた。  ロベルトが楽しげな様子で、ジェイミーの乱れた髪に指を絡めてくる。 「――俺たち、体の相性も最高だと思わない?」 「一度でも、お前と気が合うと思ったことはないが」 「ひどいなー」  そう言って笑ったロベルトの手が、隙なく動いて双丘にかかり、ついには熱っぽく綻んでいる秘孔に指が挿入される。  丁寧に拭われたとはいえ、指を出し入れされると、奥に注ぎ込まれたロベルトの情熱の名残りが滴り出てくる。  唇を噛んだジェイミーは、はしたない自分の秘孔を指で犯されるのに任せるしかない。  無意識に腰が揺れる。反応した互いのものを擦りつけ合うように、自ら腰を動かしていた。  念を押すようにもう一度ロベルトに問われる。 「俺たち、体の相性いいよね」 「あ、あ……」  あえなくジェイミーは陥落する。 「これからは、こんな関係でいよう。気が向いたら、最高の快感を得られる関係。ジェイミーみたいに頭がよくてクールな大人とじゃないと、結べない関係だよ。俺はもちろん、ジェイミーを拘束したり、無理矢理なことはしない」  気持ちいいだけの関係――。ジェイミーは口中で呟く。口当たりのいい、素晴らしい関係だ。  本当にそんな関係になれるのなら、いいかもしれない。  頷いたジェイミーは、秘孔を弄られながら、ロベルトの胸に額をすり寄せる。 「……子供の頃は、本当にジェイミーみたいなきれいな金髪になりたくて憧れてたんだけど、こうして眺めるのもいいもんだね」  ロベルトに片手で頭を撫でられる。ジェイミーは顔を伏せたまま笑みをこぼし、ロベルトの胸に何度もキスを落とす。  ロベルトの肌を、ジェイミーの金髪がサラサラと撫でていく。  体だけでなく、心でも気持ちいい。  興奮したロベルトにのしかかられる頃には、ジェイミーはロベルトとの新たな関係に乗り気になっていた。  外での一人での夕食を終えて、ジェイミーがいつものバーに立ち寄ると、そこにはすでに、ダグラスとシン、すっかり新たなメンバーとして馴染んでしまったロベルトの姿があった。  静かにテーブルに近づくと、空いているロベルトの右隣のイスに腰掛ける。 「あっ、ジェイミー」  まっさきに声をかけてきたシンとダグラスの手にはしっかり、薄型テレビのカタログが握られている。  ジェイミーはさり気なく、ロベルトが飲んでいるものに視線を向ける。すぐに気づいたらしく、ロベルトはグラスを掲げて笑った。 「今日は車だから、ジュースだよ」  ジェイミーは電車だ。帰りの足は確保できたと思い、さっそく『オールドファッションド』とフルーツを注文する。  そんなジェイミーに、ダグラスは意味深な視線を向けてきた。薄々とながら、ジェイミーとロベルトの関係に気づいている目だ。だからといって、特に反応に変化があるわけではない。  何事もなかったように、ダグラスに話しかけられた。 「この間の口紅、うちの奥さんが喜んでつけているぞ」 「それはよかった。学生の女の子に押し付けられて困ってたんだ。喜んでくれたんなら、有効利用ということだ」  シエナのショップで、不本意にも購入した口紅は、この間、バーでダグラスと二人で飲んだときにプレゼントしていた。  グラスに口をつけながら、ロベルトが一人で笑っている。ジェイミーはテーブルの下で、ロベルトの足を思い切り踏みつけてやった。  それでいて、クールな表情でダグラスとは話し続け、ロベルトのほうも、シンからカタログを取り上げて、薄型テレビについていろいろと教えてもらっている。  別にロベルトとの関係を、ことさら隠し立てするつもりはないが、こういった場では友人としての関係を優先したかった。  ロベルトと関係を持ってそれほど期間が経っているわけではないが、なんとなく二人の間には暗黙の了解のようなものができつつある。  友人と、快楽に満ちた体の関係をスムーズに行き来するための手段だといえる。  ただふと、ジェイミーは考える。  バーのあちこちから、ロベルトに視線を向けている女性たちの前で、ロベルトともっともいい関係を築いているのは自分だと態度で示せたらどうなるか、と。  一定量を保っているロベルトへの感情が、この瞬間、危険水域を越えそうになる。  ジェイミーはすぐに頭を切り替えて、ダグラスとの会話に集中する。  自分は実は、クールな人間などではないのだと、漠然とながら感じ始めていた。
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