あたし達の登校

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あたし達の登校

 あたしの周りには、個性豊かな人達がおんねん。  一人は、ボケてボケてボケたおし。  一人は、シュールにボケる。  そして最後の一人は、中二病。  そんな三人とあたしは昔からの付き合いで、幼馴染言うんやろか。  そりゃ家が皆並んで隣同士なんやから、イヤでも一緒になるんは仕方あらへん。 「行ってきます」  そう言い扉を開け出ると、他三人も同時に出てくるんやもん、ツッコんで当然やろ。  あたしは勢い良く「なんで皆同時やねん」ってツッコんで、今日も四人で学校へ向かう。  いや、向かってんねんで。  歩いてるんや。  でもな、1つ言いたい。 「なんで縦一列で歩いてるん!?」 「当然やろ」 「ああ、横に広がったら危ないからな」  もっともらしいことを言っているんやけど、だんだん横に並び始めていることにあたしは気づいとる。  朝から何回ツッコます気やねんと言いたいところやねんけど、何より気になるのはもう一人の存在やねん。  なんか知らへんけど、二人と違ってまだあたしの後ろを歩いとる。  それも何かブツブツ言っとるし。 「何故神はオレにこんな過酷な試練を与えるのか……」 「朝が嫌いやからってあたしの後ろにくっついて歩かんといてよ」 「黙れ。貴様はこの天の光からオレを守るだけの存在なんだからな」  アンタは日傘にでも守られてろとツッコみ、あたしは業と早足で中二病との距離を離す。  アイツは朝が超弱いから、動きも鈍いねん。  あたしという日除けがいなくなったことで、今にでも溶けてなくなりそうな声を上げてるんやけど、ここで振り返ったらあかん。 「やっぱお前って、中二病のこと好きやねんな」 「は!? なんでそうなるん?」 「やっぱな。俺もそう思っていた」  俺もって言ったわりには、コイツめっちゃ目見開いて驚いてるんやけど。  取り敢えずコイツらはただボケたいだけなんはわかってんねん。  わかってんねんけど、こんなんツッコまずにいられるわけないやん。  そんなあたし達から離れた後ろでは、中二病が電柱に寄りかかり息絶えていた。  まあ、死んでへんから放っておいてもええやろ。 《完》
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