俺の目覚め

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体がふわふわと浮く感覚。 ここはとても心地よい。 見渡す限りの水。俺は下に下に沈んでいくが、不思議と息は苦しくない。 ゆっくりゆっくり沈んでいくが、不思議と光は絶えず差し込む。 目の前では映像が繰り返されている。 何回も、何十回も。 もう何時間いたのだろう。 誰かわからない男が、どこかわからない場所で、笑って、泣いて、怒って、色々な感情を出して暮らしている。 最初は赤子から、最後は青年まで。 でも終わりはいつも唐突で。 いつも隣にいた女が、ナイフを持ちながら一方的に愛を告げる。 突然目が(くら)み、床に伏せる。 そして男は断り、刺されて死ぬ。 そして息が絶え、心臓も止まる。 何十回見ただろう。 俺は唐突に自覚した。いや、本当は、一回目から分かってた。感じ取っていた。 あの男。あの男は、自分だと。 黒い髪と、銀の髪。 黒い瞳と、蒼の瞳。 痩せた体と、細いが筋肉質の体。 短い髪と、長い髪。 低い身長と、高い身長。 年齢も、生まれたところも全てが全て違うけれど、()は確信する。 あいつは、()だと。 口から小さな空気の泡を吐き出しながら、 「おまえは、()なんだな。」 ()は、そう呟いた。 その途端、どこかに引っ張られる感覚と、光が見えてきた。 その光が、現実に引き戻そうとする友人達のように見えた。
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