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戦いの始まり
彼の中に潜むモンスターを屠り、彼に知恵の実を与え、彼を楽園から追放する。
これは、その戦いの一幕に過ぎない。
「で、だ」
安田夢は、不機嫌な声で言う。
「こんな所に連れ込んで、何が目的だ蛇子くん」
「やだなあ。安田部長。ここで男と女がヤることなんて、一つに決まってるじゃないですか」
ピンクの照明。
ダブルのベッド。
透けるバスルーム。
垂れ流されるAV……、は話の邪魔なのでOFFにする。
安田と蛇子。
二人がいるのは、まごうなきラブホテルであった。
「俺は、確かにお前と付き合うと言った。
けれど、それは、最初に言った通り形式的なものだ。
なんて言っても、俺は」
安田の言葉に、蛇子はモンスターの存在を感知する。
予想していたことだ。
この日のために、準備をしてきていた。
蛇子は、今から彼を守る3体のモンスターを倒さなくてはいけない。
これは、その一体目。
「俺は、ホモなんだからな」
これこそが、彼の貞操を守るモンスターの一体目。
三つ首のケルベロス。
地獄の門を守る番犬である。
「安田部長。今日こそは、貴方の童貞。いえ。
モンスター童貞をいただきます!」
蛇子が心の中でそう告げる。
戦いの始まりだった。
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