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おばあちゃんは心の中に?
亡くなった実感がわかない。山のアイコンがなくなっていた。山中だから山のアイコンにしたんだとおばあちゃんが教えてくれたっけ。
『ばあちゃんはね、凛々子の花嫁姿見るまで死ねねぇよぉ』
嘘つきだ。相手も見つけられないまま、お迎えが来てしまった。あたしは何も恩返し出来ていなかった。たくさん甘えておばあちゃんに助けられたことなんて何度もあった。
ピコーン♪
通知が薄暗い部屋に鳴り響く、誰だろうとスマホを確認して目を見開く、山ちゃんことおばあちゃんからトークチャットが送られてきている。解約したばかりなのに何故?
山ちゃん【泣いてばかりじゃ進まないよ】
「おばあちゃん、ここにいるの?ねぇ返事してよ」
心の隅にぽっかりと空いた穴が塞がるような、不思議な現象に落ち着かずにはいられない。
ピコーン♪
山ちゃん【凛々子に黙ってデートの約束したんだわ~会ってくれる?】
軽い何このノリ?おじいちゃんはだいぶ前に亡くなって寂しそうにしていたけれど、やけに明るかったのはボーイフレンドがいたから?おばあちゃんとデートの約束する人って、お年寄りだよね。
あたしはこの時、おばあちゃんが窓からひょこり笑顔で様子を伺っていたなんて知らなくて明後日のデートの日に備えてそわそわしていた。
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