白の狭間

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何かとても苦しくて辛い夢を見ていた気がする。 私は大きく息を吸って、もがくように目を覚ました。 ・・・と思ったのだが、まだ夢を見ているようだ。 ここはいつもの私のベッドではなく、隣にいる筈の妻もいない。 上も下も前も横も、まるでミルクに浮いているような白い霧だ。 だが立ち上がった足元の感触は、柔らかな腐葉土(ふようど)の上にいるようだ。 そう思ったとたん、足元がふかふかした金色と茶の腐葉土に変わった。 子供の頃に遊びまわった雑木林の香りがする。
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