FIAT 500X

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「どう考えたってヘンでしょ。一部に人気があるにせよ、御堂永遠はデビューして一年しか活動していないのよ。しかも、それほどメジャーな作品にも出ていない」  マネージャーでもある母からそう言われると少しヘコむ。 「それで仏眼が関わっていると判断したのか」  遙香は肩を(すく)めるような仕草をした。  聞き慣れない名前に朱理は戸惑う。 「え? どういうこと? ブツゲンってだれ?」  遙香はチラリと隣でウトウトする刹那に眼を向けた。 「気にしないで話して、秘密は守るから」  刹那は眼を開いて遙香を見つめた。 「別に秘密ってわけじゃないわ。親戚との込み入った事情を知られたくなかっただけ」  渋い顔をする。 「それって秘密じゃないの?」 「秘密にしておけたらいいんだけどね」  溜息交じりに遙香が言った。 「どういうこと?」  何だか不安になってくる。 「例によって例の如くよ」  遙香は法眼の弟、佐伯仏眼について話し始めた。朱理は、先ず祖父が婿養子だったことに驚いた。また、厄介事が起こりそうな予感がする。
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