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「自信がないんだよ」
「え?」
「自信がないんだ・・・あの・・・お前が大学卒業して就職するだろ?・・・その・・・その先で俺よりも・・その・・・」
そっぽを向き、照れながら言いにくそうに途切れ途切れに言う司に私は、嬉しくなった。
そっと、司の腕に自分の腕を絡ませ体を寄せると
「変な事心配してるのね。確かに司の心配も分かるけどそれは私にも言える事なのよ。私なんか毎日心配してるわ。・・・大丈夫。私を信じて。私も司を信じてるから」
何となく、漫画に出てくるようなセリフとシチュエーションだが、司は嬉しそうに微笑みながら私を見るとクシャクシャと私の頭を撫でた。
(ふ~ん。こういう場合ってキスになると思ってたけど・・司じゃ無理か。でも良かった)
私は、早とちりして自分から別れ話を出さなくて良かったとホッとした。
幸せな気分に浸っている時、小さく悲鳴のような声を聞いた気がした。
「え?今の何?」
「え?今のって?」
「なんか、声が聞こえたけど」
「アイツらが騒いでるんじゃないか?」
「・・・そうね。もうそろそろ私達も出発しない?」
「よし!行くか」
懐中電灯の付き具合を見ながら、私達は暗闇の中へ歩いて行った。
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