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その笑いもすぐに消える事になる。由美子とユウが一つずつ持っているはずの懐中電灯の光が、一つしかないのに気が付いたからだ。
「ね、おかしくない?私たち一人ずつ懐中電灯持っているはずなのに、何であれ一つしかないの?・・・それに、いつまでもグルグル回して・・・」
「確かに・・・あれ?こっちに来てないか?もしかしたら落として壊したのかもしれないな。取り敢えず合流しようぜ」
司は歩みを速めたが、私は何か言い知れぬ不安がよぎり足が進まない。私に構わず先を歩く司を止めようと何か言いたくても、喉がひりついて声が出ない。
「ん?どうした?行くよ」
ついてこない私に気が付いた司は、振り向き私の手を取り歩き出した。
私達と、未だグルグル回る由美子達のライトが次第に近づく。
「お~い。どうした~」
司が突然大きな声で、由美子達に声を掛けた。余りにも突然だったので、私は体全体で驚いてしまう。司は、繋いでいた手からそれを感じ取ったのか
「はっはは。ごめんごめん。驚いた?もう一回声かけてみるね?お~い」
声を掛けられた由美子達は、特に私達に返事をすることなく相変わらずグルグルと懐中電灯を回しながらこちらに近づいてくる。
「なんか・・・走ってる?」
「・・・ああ。もしかしたら何かあったのかもしれないな。急ごう!」
司は不安そうな顔をして、私の手をひき走り出す。
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