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チ、チリリリリン、チリリリリリリリン
司の携帯が鳴る。着信音を黒電話にしてるのだが、このシチュエーションでの黒電話の音はかなり怖い。
「アッ‼ユウからだ!もしもし?お前今どこにいるんだよ!え?・・・ああ・・・うん」
司は電話に出ると勢い良く話し出す。司が話している間、私は話の内容が気になったが、司の表情を凝視しながら電話が終わるのを辛抱強く待つ。
ようやく電話が終わったのを見て
「誰?ユウ君?何処にいるの?無事なの?由美子は?」
「ユウからだった。大丈夫だ。由美ちゃんと一緒にいるって言ってた。やっぱりあいつもあの真っ黒な奴に追いかけられて逃げたらしい。今は、山の中に入って隠れてるって言ってた」
「どうするの?これから」
「あいつらと合流しなくちゃ、そしてここを出よう」
「合流って・・・由美子達がどの辺りにいるのかさえ分からないのに・・・ね、もう一回電話してみて。場所聞いてみようよ」
「今は駄目だ」
「なんで?」
「あいつが来たって言って切れたから・・・もし今電話して、その音でバレたらヤバいだろ?」
「・・・・」
私は携帯の時計を見た。深夜一時半。夏の日の出は大体五時。
今の私には、日の出までの時間が無限に感じられた。
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