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「由緒正しいお家柄って感じ?」 司のその言葉は、皮肉なのか褒めてるのか分からなかったので何も言わなかった。 家の庭は全体に砂利が敷き詰めてある。じゃりじゃりと音をたてながら車は庭の隅に停まった。四人ははやる気持ちを押さえながら車から降りると、改めて家や周りを見渡す。 何も変わっていない。 大きな平屋の母屋を中心に、右手に蔵が二つ建ち左手には農作業に使う農機具が何台も並んだ納屋が大きく場所を取っている。母屋の裏手は、小さい頃によく遊んだ竹林が今でもこの家を守るように屋根から顔を出していた。 「凄いね。ねっ早く入ろうよ」 由美子は車から荷物を取り、いそいそと玄関の方へ行く。 「うん」 私も自分の荷物を持つと、母親から預かった鍵を取り出し玄関を開けた。 カラカラと小気味いい音をたてて引き戸の玄関を開けた瞬間、祖母の匂いがした。ソレは、一瞬にして私を幼い頃に戻してくれる。 「お邪魔しま~す!」 感傷に浸る間もなく、由美子の元気な声が家中に響き渡る。 「結構綺麗じゃん!」 早々と、居間に入った由美子の満足そうな声が聞こえてきた。 私も早くそっちへ行こうと靴を脱ごうとした時 「何やってんの?早く入ったら?」 司だった。 何となく冷たいその言い方に、寂しくも頭にも来たが 「うん」 そう言うだけで何も言わなかった。 この旅行で、司と修復不可能であれば別れようと思っている。しかし、それは旅行の最後で結論を出す事だ。今喧嘩なんてしてしまったら、元も子もない。
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