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「ちょっとみんな!まだ荷物あるんだぞ?取りに来てくれよ」 ユウが車の所で叫んでる。 「はいは~い!」 由美子は、余程機嫌がいいのかステップを踏みながら庭に走って行った。 誰も住まなくなった家なのだが、母親が管理しているだけあって家の中は綺麗に掃除されていた。 「私が生きている間は、あの家はしっかり守っていくつもりよ」 そう母は言っていた。 お陰で、電気、ガス、水道もきちんと使えるようになっている。 前に、両親が酷い喧嘩をした時母親は一週間返ってこなかった。恐らくここに来ていたのだろう。まぁ、そのために大切にしている訳ではないだろうが。 私も母の代が終わったら、私自身で守って行こうと思っている。 それ程私にとって、この家には良い思い出しかないのだ。
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