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秘密の部屋
食料を冷蔵庫へ入れると、次に始まるのは家の探索だ。
由美子が船頭を切り、次々に部屋へ入って行く。私は一番後ろからついて回り、思い出と一緒に改めて見て周る。
平屋のこの家は全部で七部屋あり、置かれている家具は全てそのままになっていた。どの部屋も埃一つ被っていない。
「本当にここ誰も住んでないの?」
当然の疑問だろう。
お祖母ちゃんが亡くなってから六年が経つ。誰も住まなくなって六年経った家には到底見えない程綺麗なのだ。
「本当よ。普段は母親が管理しているの。いつも掃除に来てるんじゃないかしら」
「ふ~ん。余程大事にしてるんだな。帰りは俺達も掃除してから帰ろうぜ」
司のこの言葉は嬉しかった。
「うん!」
その時だ。
「あれ?ねえちょっと!ここの部屋・・・ドアが開かないんだけど」
「え?」
「どこ?」
三人は、ある部屋の前で立ち止まりドアノブをガチャガチャと回している。
「何で開かないの?」
由美子が振り返り私に聞いた。
「そこは・・・」
三人の注目の中、私は何て説明しようか迷った。
「た、多分・・・倉庫か何かだったと思う。ほら、作物を保管していたような記憶があるから・・・」
「鍵閉めておくんだ。ねぇ鍵ないの?中、見たいんだけど」
「ごめん。母親が持ってると思う。それに見たって中には何もないと思うよ。誰も住んでないのに作物なんか置いといたら腐っちゃうから」
「それもそうか・・・ま、いいや!それより温泉に行こうよ!俺もう汗びっしょりで気持ち悪いわ」
「そうね!行こう行こう」
ユウの提案で、その場の私は救われた。
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