14人が本棚に入れています
本棚に追加
邂逅《かえる》
時は戦争を終えて、さらにはそれを主張する平成になって時は2年経った。
其村は未だ顕在していた。
村人は数少ないが、それでも都会に負けぬ活気を盛っていた。
そして、この村に新たに加わる新参者がやってきた。
両親と兄弟の二人は父方のお爺さんが亡くなったが為に父が久し振りに行こうとということで夏休みの一週間だけ此村にお泊まりすることになったのだ。
父親と思われる男性が車を運転していると「田舎って楽しいの?」って煽るように言う夏なのにニット帽を被って悪ガキを示すようなTシャツを着て短パンを履いて、赤いスニーカーを穿いていた。
「お父さんの田舎なんだぞ!楽しいに決まってるだろ!霧蠧!」
そう言っていたけど眼鏡をかけていて斜に構えてるような弟が鋭いところを言った。
「そう言うのは構いませんが父さんはこの村での思い出はあるんですか?」
そう言われた父親はこの村での記憶を思い出そうとするも何故か、モヤがかかったように思い出せなかった。
「あれ…そういえば何でだ?」と不甲斐ない父を見せないように小声で呟いたが霧蠧には退屈そうに右の小指で鼻の穴をほじくりながらぼやいた。
「別になんだろうがいいんじゃねぇよ。遊べれば…」
「ボクも霧蠧に賛成です」
この二人は兄弟なのですが、霧蠧は“兄さん”呼びを極力嫌っていて、同じように弟も“兄さん”と言うのが鳥肌が立つほど嫌いだった。
「影蠧も同じなんて母として嬉しいかな…」と三人の会話にドキドキしながら聞いていながら苦笑いで呟いてしまった。
そんな会話をしていたら第一村人が見えてきた。
その人の手には鍬を持っていて肩に担いで歩いて見た目50才くらいの男性が歩いていた。
服装は軽装のためにタンクトップと茶色いズボンに長靴を履いていた。
さらに腰にはタオルがくくりつけていた。
それで数メートル辺りで車を止めて、車窓を開けた。
それから顔を出して「あの、すみません」と声をかけたら、呼び掛けられたその人は一瞬見知らぬものが来たのかと疑いの眼差しを向けられるけれども何故だが驚いた表情をした後に懐かしそうな眼差しを向けてきた。
「おや、洋輔くんかい?」と突然父親の下の名前を呼ばれて、助手席に座っていた母はひどく驚いていて、後ろの息子達は異様な光景に興味津々だった。
「はい、洋輔ですがもしかして…」と記憶がありそうなフリをして促してみたら予想通りに話してくれた。
「あぁ!やっぱり!元気にしてたか!」って言いながらよく顔を見ようと覗き込んできた。
最初のコメントを投稿しよう!