新米教師、女子高生を拾う

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新米教師、女子高生を拾う

教師になって三年、ここ会津の高校に赴任して一年。 雪深い地方に来て、はじめての冬だった。 「宮野先生、早く帰ったほうがいいですよ。雪、ひどいですから」 先輩教師に言われ、柳司は職員室を出た。 風雪が校舎の窓を打つ音は聞こえていたものの、これほどとは思わなかった。 雪は、十五センチほど降り積もっていた。 車に積もった雪を下ろすと、手袋の中の指がかじかんだ。 雪道には慣れていないが、国道なら走りやすい。 雪のわだちを踏んでいけばいいのだ。 風雪にあおられながら、柳司はノロノロと愛車の軽を走らせた。 「二十日明け方まで、強風や風雪に注意してください」 FMから、アナウンサーの無機質な声が聞こえてくる。 アパートに帰り着くまで、あと少し。 交差点を曲がり国道をそれると、急に街灯が少なくなった。 道の両脇に赤と白のスノーポールが、少し傾いで並んでいる。 雪はユラユラ、舞うように降ってくる。
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