新米教師、女子高生を拾う

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有紗は収納ボックスを開け、CDを漁りだした。 「へえ、先生、洋楽とか聴くんだ? すかしてるう」 勝手にプレイヤーにCDをセットする。 せつなげな歌姫の声が、大音量で車内に響く。 あきれて有紗の横顔を見ると、首を上下に降って小さくリズムに乗っている。 「先生。バックバック。行き過ぎた。そこのコヤブ商店を、右だから」 有紗に言われて、車を停めた。 「コヤブ商店」は古臭い小さな店だった。 とっくに廃業になっているのだろう。 さびれた看板の文字は、かすれて読めない。 店の駐車場に入れさせてもらって、Uターンさせようとした。 「あれ? おかしいな」 柳司はあせってアクセルを踏みこんだ。 ブウンとタイヤが空回りする音がする。 ギアをRにしたりDにしたり、あちこちいじってみるが動かない。 ……雪だまりの中に突っ込んで、スタックしてしまったのだ。 柳司は青ざめて、車外に出た。 「あはは、センセ間抜け。大丈夫かよ?」 有紗が笑いながら、外に出てくる。 傘で車の周りの雪をならしてみた。雪は、水っぽくて重たい。 スコップを積んでおかなかったことが悔やまれる。
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