バケモノノコ

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「これが、僕……」  思わずその場にへたり込む。  還暦を過ぎても一度も働かず、学校にも行ったことのない僕。  外を歩いたこともない。最近はかがみを見ることすらなかった僕。  昔の僕は顔の整った少年だった。  だけど。  親の金で暮らし、二次元だけ見つめ、知識だけ豊富な僕。  世の中を何も知らないまま、タダ飯だけ食って生きてきた。  ああ、これから僕はどうやって生きて行けばいいのだろうか。  僕は。  親の過保護すぎる愛情というバケモノに、ぼろぼろにされたバケモノ、なのかもしれない。     
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