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私と僕の成長日記3
ユウキのその想像とは違った笑顔を見て、アスカは腰が抜けたようにストンと座った。
「そ、そうなの? 誰なの、その下駄を履いたお兄ちゃんって?」
ユウキは笑顔で「わかんない!」と言った。アスカはその顔をユウキを見て笑みをした。
息子が無事に笑えているなら大丈夫なのかもしれない。
そう信じようとアスカは思った。
しかし、アスカは罪悪感でいっぱいだった。
ユウキが虐められている理由が「貧乏」と「シングルマザー」ということだ。
親が一人しかいない、お金もない、だからターゲットにされる。アスカは自分で自分を責めた。
ユウキには娯楽をする物が一切ない。
お金がないためにアスカも買ってあげたいのだけれども生活でいっぱいいっぱいで余分なお金がなかった。
ユウキはそれでも笑っていられる子だった。
「お母さん、今日のご飯なに? 手伝うよ」
アスカにはユウキのこの健気な言葉が何より染みた。この子はまっすぐに育った、本当にそれだけで良かった。
今晩の夕食はユウキの好きなカレーライスだった。
ユウキは自分の顔に傷があることも気にしないで部屋の中を走り回っていた。
アスカは傷の手当がしたくてなんとかユウキに落ち着かせたかった。
だから魔法の言葉「ヒーローになりたい人はコチラで手続きに来なさい」とアスカは言った。
そういうとユウキはピタッと止まりアスカの方へ急いで向かい敬礼した。
ユウキはヒーローに憧れていた。
戦隊モノや特撮系が好きな子供だった。
そうして落ち着いたユウキにアスカは傷の手当てをした。
救急箱から絆創膏と消毒液とガーゼを出して痛くならないように染みないように手当てをした。
「痛くない? 大丈夫」
治療をしながらアスカは聞いた。
「痛く……ないよ」
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