夢を追いかける権利1

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夢を追いかける権利1

暑い夏の朝、ボーッとした陽炎が揺れる感覚で空を見ていた。何をするでもなく、やることもなく、ただ子供の時のように昔に戻りたいなあとレツは思っていた。 二十歳を迎えた日、成人式にも行こうと思わず、夏にふと思って訪ねた田舎の祖母の家でスイカを齧りながら、独り呟いた。 「俺はコレからどうやって生きていこう……」 恋人にも恵まれず、友達にも恵まれず、只々独りで生きてきたこのやるせない気持ちを胸に抱え、目指すものもない自分はどうなるのかと、不安になった。 スイカに塩をかけて齧るとしょっぱくて、人生みたいだな、とふと思った。 「本当に何年経ってもレツくんは変わらないねえ」 奥から祖母のサキが麦茶を持ってきてそう言った。 変わらない、そうなのかな。そうなのかな。 と頭の中でクルクル考えがまとまらずにぼんやり考えていた。 「昔からレツくんは雲のような子供だったからね。アキがレツくんを産んでから、毎年、夏に遊びに来てスイカを食べるのが恒例で、いつもぼんやりとしながら空を見ていて、掴みどころが分からなかったわ」 そーなのか。 そんな風に毎年同じことをしていたのか、進歩がないなあ。シャクシャク。 「しょっぱ」 「ホホホ」 そういえばアオはどうしたんだろうか? ココに来ているのだろか。 毎年、腐れ縁の女の子でレツと同じで何も考えていないような幼馴染。唯一、レツに友達がいるとしたらアオくらいだろう。
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