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  「あー?何してるってそりゃ、お前らから隠れてるんだよ」  てきとうに返事をするが、宙はご機嫌だ。 「えー?じゃあ刃みーつけた!」  刃を押し上げて登り、狭い椅子の上で無理やり並んで座る。 「いっしょにかくれよ?」 「何でだよ」  細い足を乗り越えて降りようとするが、あえなくホールドされる。 「しずかにして!星ちゃんとかくれんぼなんだよ」  ぎゅうと抱き締められて、息を止める。というか止まりそうになる。  しかし静かな家の中だ、遠慮無い足音が走って来ているのはもう聞こえている。 「みつけたーです!」 「わあ!見つかる!刃!まほうつかって!」 「もう見つかってんじゃねーか」  ゴキゲンな星子までなだれ込んで、椅子の上はもう訳が分からない。  星子の半分くらいのサイズの刃は、その尻だか宙の手だかで、体がいろいろ変な方向に曲がりそうだ。 「やーめろ!誰か助けろコラ!」  きゃあきゃあ喜ぶ2人へ叫べば、すき間から引っ張り出された。 「だいじょうぶ?」 「……大丈夫じゃない」  脚を掴んでぶら下げられ、ぐったりと返す。  宙はこんな無体な奴だっただろうかと思う間に、くるくる回され柔らかいものが顔面に押し付けられた。 「ちゅー」 「ギャー何だなんだ食う気か!」 「ちゅーしたら、まほうがとけるんだよ?」 「はぁ?オレぁ何の魔法かけられてんだ」  2人が顔を見合わせた。 「えっとー……」 「れむれるもりのびしょです!」 「起きてる」 「かえるのおうじさま!」 「どのへんがカエルに見える」 「しらゆちひめ」 「うごくお城とー…」 「待て待ておまえらソレ全部絵本だな?」  あたりとばかりに二人が笑いだした。やれやれと刃は顔を拭う。
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