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空気が明るく暖かくなり、降る雨もやわらかな季節。
土手の桜も散り、若葉が鮮やかになり始めた。
子供達は朝も午後も外へ行きたがり、連れられて行くのも楽しい頃だ。
そんな時分だが、エリックは対処に困っていた。
普段は、家の中の事は全て思い通りに采配しているような顔をした、何かと鼻につく人物、いや正しくは小人。
刃。
どうもその様子がおかしい。
いつも、家の事はおおむねこなしていた。朝は、一番に起きていた。
それが、今朝は星子が勝手に連れてくるまで起きて来なかったし、今は宙と星子に好き放題髪をいじられても、気付いた風もなく新聞を眺めている。
かといって、全く呆けているわけでもなく、
「まだ読んでるんですか?」
「うるせえマトモに漢字読めるようになってから言えバーカ」
腹の立つ言葉は、間髪入れず返ってくる。
そんな事もあるだろうといつも以上には気にせずいたが、4日続けば不審にも思う。
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