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頭を悩ましている事を思い出して、眠気と入れ替わりに後悔がやって来た。
ずっとドア越しに話していただけの人を、外に誘った。
思い出しても顔が赤くなる。
勢いで誘って、次の瞬間に恥ずかしくなって、返事も聞かず転げ落ちるように部屋へ戻ってしまった。
それ以来、階段には近付けていない。
「何で言っちゃったかな…」
頬が熱い。ため息も出たが、今更遅い。
話しているのがただ楽しくて、どうにかして会ってみたい気持ち自体は、少し前からはあったのだが。
「先生がそそのかすから」
「私のせいかな?ちょっと独り言が大きかっただけだよ」
「言ってるんじゃん」
「悪気は無いよ?ただ、今なら言えそうだねって、僕が勝手に思ったんだ」
またため息が出る。
声が『僕』と言うときは、素が出てだいたい本音を言っていると、星野は知っている。
だから何も考えて無かったことだけは分かるのだけれど。
「どうしよ……」
当たる先を無くして、またクッションに顔を埋める。
聞こえる声は楽しげだ。
「困ったら、きみのやりたい様にしたらいい」
「それが分からないから困ってるのに」
「そうなの?準備、してただろう?」
「あれは……」
「じゃあ何かね?きみは突然、一人でファッションショーをやりたくなるお年頃なのかい?」
声は明らかに面白がっている。
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