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話はエリックが思ったより短かった。
「星野さんに外へ誘われたんですか?」
珍しく口の重い刃がとりとめなく話したのは、要するにその一言だった。
本人はばつの悪そうな顔で、目を逸らしている。
「死神ボディでこないだ会ってるがな、たぶんアレは別人だと思ってる。つーか明らかに違うしな」
「外見以外はあなたでしたよ」
「そりゃそうだが。アレは厳密にはオレじゃねえし、サトルが誘ったのはオレだろ。だから……まぁ、オレが何とかしねえと、あいつを騙すようだし」
「ですから」
考えながら喋り始めたのを遮る。
また同じ話だ。
「あなたは、星野さんに会うつもりなんですか?」
刃はしばらく止まり、また頭を振って、乱れた髪をかきあげた。
「返事は、してない」
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