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「捨て置け。あの女の問題だ。関われば愚かな目に遭うぞ」
死神は、いつものソファーで軽く肩をすくめたようだった。
整い過ぎた姿かたちと緩く巻いた白銀の長い髪。時代がかった黒服は、見た目も雰囲気も子供部屋には異質な存在だが、幼い宙を膝に乗せた様子はもうすっかり馴染んでいる。
床に座ったままのエリックは、背中を星子によじ登られながら、肩を落とす。
「星野さんに会ったら、どんな顔をすればいいのか……」
「さとるとあそぶの?」
先に宙が声をあげた。
「さとるは、がっこう行ったよ!」
「あ!ほしこが!ほしこが言うです!」
「……学校?」
想定外の言葉に首を傾げかけて、星子の重みも予想外でやめる。
頭の上で、元気な声がした。
「だいがく!です!」
「しんがっき、だって!」
「そう、ですか」
エリックはよくわからなかったが、宙と星子に交互に説明され、ひとまず大学という毎日勉強をする場所へ行ったと理解した。
「それでは、あまり遊べませんね」
「いっしょにとしょかん、行けないね」
「え?」
「えほん!あらたしいの!です!」
「ぼくとしょかん行きたい!」
「ほしこもです!」
話が妙な方向に進んで、エリックは返事に困る。
すると、図書館に期待する宙の目を、白い手がふさいだ。
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