目が覚めたら、まさか

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 陽太は「駿、可愛かったよ」と言うと、意味ありげに笑って窓の外を見た。俺の居る位置からも、鳥が煽られて飛んで、木がヒューヒューを音をたてているのが聴こえる。その様子から風が強いのが分かった。 「今日はさ、明治神宮へ行こうか」 「まだ、諦めてなかったの?」 「恋が実りますようにってお願いするんだよ」  陽太は素肌にTシャツを着てセーターを被った。柔軟剤の匂いがした。下はボクサーパンツ1枚だ。早くデニムを着ろよ。そう思うが口が開かない。それにしても誰に恋してるんだろう。陽太のこと好きな子は沢山いると思う。でもちよっと妬ける。俺、何を考えてんだ?  お父さんとお母さんは予定通りの時間に家を出ていった。ゆっくり留守番しててねと言ったが、元旦に陽太と2人きりというのも何だ。今朝目が覚めたら見えた真っ白い肌が忘れられない。変な気分になって汗が噴き出すのが分かる。俺は仕方なく明治神宮へ行った。着物の女の子は陽太を見ると目を輝かせて2度見する。陽太はドヤ顔をして、俺ってイケてるだろうという素振りで髪をかき上げた。俺は疑問を投げかける。 「誰との恋を願うわけ?」 「駿に決まってるだろう」 「はあ!?」 「お前さ、ストレス溜まってるみたいだもんな。今日も慰めてやるよ。早く帰ろうか」  やっぱり夢じゃなかったんだ。でも、いいか。BLも流行っているみたいだし。今年は流行りに乗ってみよう。  俺は陽太と甘酒を飲んだ。来年もここに来れたらいいな。  終わり
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