目が覚めたら、まさか

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 今日は終業式だ。明日から冬休みだけど俺は特に何もやることがない。親は初もうでに誘ってくれたが高校生にもなって親と出掛けるなんて嫌だ。あれこれと考えていると今年最後のホームルームが始まる。担任が晴れやかな顔をしてみんなの顔をゆっくり見た。俺の席は陽太が座っている席の前だ。つんつんと背中を叩かれた。俺はいぶかしげに振り返ると陽太は白い歯を見せてニッと笑った。 「お正月、一緒に出掛けようか?」  えっ、2人で?陽太だったら女子からの誘いが多いだろうに、何故、誘って来るんだろう。  俺はツンと顔を上に向けると「男同士だなんてダセえ」と言い放った。陽太はハハハと笑った。大声だったので担任に睨まれる。俺は姿勢を正すと担任の顔を見た。担任は何事も無かったかのように冬休みの過ごし方を話した。タバコやお酒は禁止なこと。正月だからと言って羽目を外したらいけないことをクドクドと話していた。  終業式が終わり帰路に就く。今日は学校から駅までの徒歩10分を陽太と一緒に帰った。何時もは1人で帰るのだが陽太がどうしてもというので、仕方なく影を並べた。駅に着けばいつも陽太は下り方向の電車に乗る。俺はバスで15分くらい揺られて家に帰る。バスターミナルには色々な路線のバスが行ったり来たりしていて、バスを待つ人々が列をなしている。スマホで時間を確認するとバスが来るまで20分あった。行ってしまった後らしい。俺はお腹がグルグル、グルグルと鳴ったのでパンでも買おうかとコンビニに入った。陽太も喉が渇いたと言って後からついて来た。なんか俺、付きまとわれている気がする。だがそれを言って思い過ごしだったらマジ恥ずかしい。
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