目が覚めたら、まさか

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 コンビニでメロンパンとスポーツドリンクを買った。陽太はノンカロリーのコーラを買っていた。バス停のベンチに腰掛けると陽太は後ろに座って背中をくっつけた。 「っ、んだよ、早く帰れよ」 「いいじゃん、なあ、冬休み一緒に初もうでに行かないか?駿は予定ないんだろ」 「やだよ、陽太はモテるだろう、女子と行けよ」  俺はそう言うとメロンパンに齧りついた。クッキー生地のものを買ったのでボロボロと粉が落ちた。だがお腹がマックスで空いていたので美味しい。空は晴れ渡っているが強い風が吹いていて今年で一番寒く感じる。風ではためいたマフラーを巻きなおす。  デパートの写真が車体にプリントされているバスが来た。俺はメロンパンのゴミを鞄に押し込むと早く行けと言うように手をヒラヒラ振った。陽太は「ラインするからな」と言って駅の方角に行った。バスは混んでいたが座ることが出来た。商店街を抜けて住宅街に入る。それにしても陽太は何を考えているんだろう。一緒に初もうでに行きたいだなんて男子に誘われたのは初めてだ。  家に着き、靴を脱いで玄関にあがる。入って右手にリビングがあって、左側は和室だ。真ん中に階段がある。俺は手を洗ってうがいをするとリビングのドアを開けて「ただいまー」と言った。お母さんは頬をあげて「お帰りなさい」と言った。俺はソファーにぐったり腰かけて、外がいかに寒かったか話した。この辺りは北風が吹くと手足がしびれるほど寒くなる。お母さんは話を聞きながら、テレビのスイッチを入れた。もうお笑い番組をやっていた。
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