目が覚めたら、まさか

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 お父さんとお母さんは明日の8時には家を出て浅草に向かうんだと言う。浅草寺には行ったことが無いから混むかどうか分からないので早めに出るんだそうだ。俺はゆっくりして来いよと言うとミカンの皮を剥いた。お父さんは寝る為に2階へ行った。お母さんも後をついて行く。 「陽太は隣の和室で寝ろよ。親戚が来た時のためにお客様用の布団があるんだ」 「ああ、ワリい。布団は俺が敷くから気にすんな」 「もう寝るぞ」  俺はそう言うと階段を上って2階に向かった。  布団が異様に温かくて目が覚めた。目の前が真っ白だった。裸の陽太が俺に覆いかぶさるように寝ていた。俺は驚いてベットから転がり落ちる。陽太は目を覚まして目を擦った。 「何やってんだよ。何でここで寝てるわけ?しかも裸ってどういうことだよ」  陽太は「はあ?」と言ってベッドの下に落ちていたバスタオルを身体に巻こうとする。色が白くて滑々の肌に適度についた筋肉が眩しい。早く隠してくれよ。 「駿だって裸じゃん」  見ると俺も裸だった。いつの間に脱いだんだ!?昨日やらしい夢を見た記憶があるが。でも現実じゃない。現実じゃないはずだ。陽太に抱きしめて慰めてもらう夢を見るなんて。確かに俺は去年、寧々ちゃんに振られて落ち込んでいたが。それを陽太に言ったら抱いて頭を撫でて貰ったような夢を見たが。夢じゃなかったのか?
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