寒月をかき抱く犬

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寒月をかき抱く犬

 もらった酒を手に屋敷へと戻れば、部屋に入るように言われる。 「零様、香月さんからです」  手渡されたマッカランをテーブルへと置くと、それをつかみ口角を上げる。 「瀬尾、こい」  隣の部屋へと移動するとそこはベッドとテーブルがある。 「酒を作れ」 「はい」  グラスと氷を用意する。  それを受け取ると美味そうに酒を飲む。その姿を見ていたら、胸がきゅっと締め付けられて、瀬尾はそこへ手を当てた。 「どうした」 「あ……」  前に胸が落ち着かぬことがあった。だがそれとは違うもの。零に会う以前、恵子とまだ暮らしているときだ。  その時に何度か今のような状態になった。 「心臓がおかしいんです」  その言葉に、零が珍しく目をぱちぱちとさせている。 「ほう、それで?」 「零様と一緒にいると、心臓が騒いだり、きゅっとなるんです」  話しをした途端、零が笑い出した。  何かおかしいことを言ったかと零の様子を窺えば、酒をあおり口づけされた。 「んっ」  そのまま押し倒され口内を翻弄される。  絡み合う舌が水音をたて、唾液が口の端から流れ落ちるがそれも気にならぬほどに口づけに夢中になっていた。  ほんのりと酒の味がする口づけは瀬尾を酔わす。 「れいさま……」 「瀬尾、服を脱げ」  と服を脱いでいく。その姿を食い入るように見つめている瀬尾に、シャツをつかんで引っ張り、ボタンが一つとんだ。  傷だらけの肌。指がたどるのは零が与えた痕のみだ。 「零様……」 「瀬尾、身体に触れる許可をやろう。やり方はわかっているな?」 「はい」  他の男がしているのを何度も見てきたし、どこに何があるのかも知っている。  必要なものを取り出し、零の身体へと触れた。  首に鎖骨へとキスを落とし、胸の粒へと吸い付いた。 「ふ、こそばゆいぞ」 「んぁ、零様っ」 「そんな丁寧に扱うな」  背中に腕が回り爪を立てられる。 「くっ」  深く爪を立てられて思わず強く吸い込んでしまい、零の身体がびくっと跳ねた。 「あぁっ、いいぞ……」  そこをたっぷりと味わった後、零が手をつかみ後ろへと導いた。
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