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バケモノ
僕らは中学を卒業するとそれぞれ別の道を歩んだ。
悪戯好きの加藤は軍人になり、宇宙艦隊所属の士官として“ややこしい星間紛争地帯”で敵を翻弄しているらしい。
中村はそうした宇宙船の中で乗員がリラックスできるスペース、ホログラムデッキの開発に貢献した。
ホログラムデッキとは立体映像と人の五感を制御して、宇宙空間でもワイキキビーチでのバカンスを楽しんだり、物語の主人公となって冒険活劇を楽しむこともできるし、戦場でのシミュレーションを行うなど多岐に渡って利用されている。
それぞれの分野で人から畏敬の念を抱かれつつも、その異才からバケモノと呼ばれている。
そして私は……。
私は豊富な知識と分析力、考察力を活かして、SF小説なるものを書いている。遠い未来に、或いは近い将来に私が想像したテクノロジーの発明や未知の生物やエネルギーの発見をテーマに、この先の人類の行く末を憂い、よりよき選択肢を示すような作品を書き続けている。
かつて巨匠と言われたSF作家がそうであったように。
私もその中に名を連ね、未来を予見したバケモノだと称賛されたいものだ。そしてそうなったとき、またあの二人と再会をし、空いた口が塞がらないような、呆れるほどの驚きを体験してみたいものだ。
そう、私は、好奇心のバケモノでありたい。
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