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そんな時に、ドアベルが鳴った。
突然の訪問者は、カナデだった。
「久しぶり。
ミキ元気だった?」
そう言うカナデは、あの時のままかわいい。
「あのさ、ちょっと気分転換にさ、ベネチアに行こう!!
娘ちゃんも連れて!!」
唐突なその誘いに、戸惑いながらも、その反面嬉しくもある。
しかし、資金が足りない。
「ありがとう、でも、お金が・・」
そう言った私に、
「そんなの後払いで良いわよ!!
だって、私さ、もうすぐ結婚するから、今しかないの!!
だからお願い!!
付き合って!」
カナデは、いつだったか別れたカレシと寄りが戻り、今度結婚することとなったのだ。
「わかったよ。
じゃあ、カナデの言葉に甘える。」
「やったぁ!!
出発は来月の半ば。2月には謝肉祭が見られるから。」
そう言うカナデは嬉しそうだった。
結婚前でお金もかかるだろうに、それでもこうやって私にここまで気を掛けてくれる親友の有り難さに、心から感謝する。
「カナデありがとう。」
そう言って、今までずっと堪えていた気持ちが一気に溢れてきて、涙がとめどなく流れた。
カナデは、わんわん泣く私の頭を、まるで小さい子どもにするように撫でてくれた。
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