金浦亮平

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「なぁ、黒田、ここを見てみろ。」 そう言って矢内先輩が示したところは、変死体の向かい側の、ソファの座る部分だった。 背もたれ部分に、わずかだか足跡が残っている。 犯人は、背もたれの向こう側にいる人物に対して、何らかの方法で踞らせて、それで後ろからロープを首にかけ、絞首のため両手でそれを引っ張ったが、力が足りずに右足を背もたれに置き、体重を乗せてロープを引っ張ったと思われる。 「それから、ここも見てみろ。」 矢内先輩が指差した変死体には、こめかみを中心に小さなものが数回当たってできた暗紫色の出血斑がみられた。 「これは・・」 変死体の苦しさに歪み、虚しさを受け入れるしかなかったかのような表情に近づき、恐ろしさと共に、見えない犯人に激しい怒りを覚える。 「恐らくだが、エアーソフトガンで至近距離から狙撃して、踞ったところにロープをかけて、そのまま後ろから体重をかけてロープを引っ張った。」 冷静に分析する矢内先輩とは別に、私は恐ろしさと怒りとでパニックになりつつあった。 滲んだ涙とともに、肩が震える。 こんな気持ちは初めてだ。
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